読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

進路を選ぶ時に考えたこと

教育 読書

先日、私が住んでいる町でも高校入試が実施され、大学入試も含めた受験シーズンが終わろうとしている。間もなく新年度が始まるが、自分のことをちょっとだけふりかえってみたい。

 

元々、高校に行くつもりは無かった。

いわゆる反抗期、もしくは中二病というやつかもしれないが、意味を見いだせないまま勉強することにうんざりしていた。

 

それを知った父は激怒し、私に人生を説いた。

 

三者面談の日、「○○高校行きますよね。」という担任の発した言葉に、「いや、ちょっと高校行くかどうか迷ってます」と答えようとした私。それを差し置き、「はい」と即答する祖母。祖母とそんな話をした覚えはない。担任は私に「刺激になるから」と通塾を勧めた。

 

元々、何かやりたかったわけではない。だから簡単に、当初の思いを曲げた。

コースアウトしないよう周りを固められて、高校進学の「レーン」に乗っかっていた。

 

高校はほぼ全員が大学進学を目指した。「大学に行く」ことにさほど大きな疑問を抱かず、あたりまえの選択肢として、進学先を探す自分がいた。

最終的に進学した大学・学部を「なぜ選んだのか」と言われると、はっきりしないというのが正直なところだ。色んな説明ができるが、どれも正しいようでどれも正しくないような感じがする。

 

他の人はどうやって選んでいるのだろう・・・

 

思い出話はさておき、

 

中澤渉・藤原翔(編著) 2015 『格差社会の中の高校生:家族・学校・進路選択』勁草書房

 

を紹介する。この本は、高校2年生とその母親に対して行われた調査によって得られた「親子ペア」のデータを分析した論文集である。多くの若い(アラサーの)研究者も著者として名を連ねている。

高校生の進路選択(大学進学、専門分野、推薦入試の利用、職業希望)がどのような要因によって規定されているかといった問題や、母子間の関係が将来展望や意識にどのよな影響を与えているかといった問題を解き明かそうとしている。

せっかくなので、おもしろかった知見を一言で挙げてみる。文脈から切り離しているので、意味不明かもしれないけれど。

進学率が上昇する中で、高校内での成績の位置づけは、高校生の進学意欲をかきたてること(加熱)もそぐこと(冷却)もなくなってしまった。(第1章 p.34)

進学率が高まっても、飽和に近づかない限り、社会経済的格差は埋まらない、という指摘も興味深かった。次。

学校に否定的感情を持っているにもかかわらず大学進学を希望する親子が、一定の規模で確認された。この「学校不適応」な大学進学層において、職業達成という明確な目的意識は母子ともにみられず、将来の便益に誘導された進学ではなかった。(第2章 p.48)

「大学こそは良い思いをしたい」という考えが表れている?わからないけど。次。

父親と同じ学科・専攻で専門教育を受けたいと思う高校生が少なくない(第3章 p.62)

単なる「学歴」だけでなく、専門分野もそうなのかと納得。ただし、その効果は男女で異なり、父学歴の継承性は男子の方で高そうだということだった。次。

推薦入試を利用する傾向にある進路多様校の普通科Ⅱや専門科の生徒が、大学進学という進路をとるにもかかわらず、将来の生活や進路を考えるために大学へ進学しようとしている(第4章 p.78)

いわゆるモラトリアム進学が見られるのである。大学における初年次教育やキャリア教育の必要性の高まりとも関わるところだと思う。次。

母子の高卒後の進路規模の一致度は一般的に高いといえるが、1割程度の不一致が観察され、その多くは普通科Ⅱに分類される進路多様校に通学している。(第6章 p.110)

むしろ、9割も一致していたことに驚いた。次、女子の海外志向の高さに関して。

女子は、ジェンダー平等意識(男性自立意識、女性自立意識)が高いために、海外志向が高いという関連が示され、性別は海外志向に対して間接的な影響をもつ(第7章 p.123)

ジェンダー平等意識が高いほど日本を見限りやすい、と言うこともできるかな?

次、性別役割分業の意識について。

性別役割分業の個人的な展望について、すなわち男子においては結婚相手の、女子においては自信の結婚後の就業継続希望について注目した場合、男女どちらにおいても母親の性別役割分業意識の伝統性が、子どもの意識の伝統性を強めることが明らかになった。(第8章 p.138)

母親が「古い」考え方であればあるほど、自分の家族において女性の就業継続を望まないという意識が強まるということ。次、似たようなところで。

就業を継続している母親を持つ高校生は・・・(※管理人:自らが結婚してできた家庭の女性に)、母親と同じように就業継続を希望しやすい(第9章 p.153)

ロールモデルの存在はとても大きい、ということが証明された。

 

もっと分析をつっこんでほしい、と思うようなところもあった。とは言え、肌感覚で思っていたことが実証されるという面白さは十二分だ。

それと、階層と教育の問題を考えるうえで、「資本」や「資源」といった「硬い」変数のみに注目していてはいけないということを再確認した。

 

イクメンブーム以降、父親が子育てに関わる度合いが増えてきているように感じる。

日本は特に母親の影響が強く出ると言われるが、「母親だけのデータでは不十分」と言われる時代はいつやってくるだろうか。

 

格差社会の中の高校生: 家族・学校・進路選択

格差社会の中の高校生: 家族・学校・進路選択